風信帖は、もともと比叡山 延暦寺に伝わっていましたが、南北朝時代に東寺に寄進されました。その際の寄進状も国宝の一部として現存しています。
風信帖の芸術的特徴は多岐にわたります。書体は行草体であり、現存する3通それぞれに異なる独自の書風が見られます。
・第1通(風信帖)は、上品で整った書風が特徴で、全15行で構成されています。
・第2通(忽披帖)は、力強く覇気に満ちた書風を示し、8行で書かれています。
・第3通(忽恵帖)は、流麗な草書体が用いられ、13行から成ります。
空海の書は、中国の伝統的な書法を基盤としながらも、日本独自の端正さと簡素さを兼ね備えています。中でも風信帖は、空海の書の中でも最高傑作とされ、現代においても書道の手本として広く用いられています。
歴史的にも、風信帖は空海と最澄という日本仏教の2大僧の交流を示す極めて重要な史料であり、日本仏教史および書道史の両面においてその意義は計り知れません。まさに、空海の書道技術の力強さと優美さを兼ね備えたその書風は、日本書道の歴史に燦然と輝く不朽の作品として、後世に伝えられています。


掲載品は、巻菱湖記念時代館所蔵の『風信帖 写し』になります。
※ 『空海の庫を開く 1の庫』掲載品
『空海の庫を開く』1の庫
2025年7月より、弘法大師・空海 御生誕1250年(2023年) / 御入定1200年(2034年) 企画として、『文字の国 ー 日本の文字の風景 空海の庫を開く』と題し、長期企画の複数巻(1の庫から8の庫)での書籍刊行を実施いたします。巻菱湖記念時代館 監修・株式会社 創三舎・株式会社 養玲社の合同企画事業として書籍をメインとし、WEBなどからも文字文化遺産を発信してまいります。書籍版とWEB版は、掲載内容が異なりますので、併せてご覧いただければと思います。
『空海の庫を開く 1の庫 』は、墨宝図版をメインとした作りとし、そこに略説明を加えたものとなっております。弘法大師・空海が繋げる文字文化・歴史・観光を主なテーマに構成いたしました。弘法大師・空海を中心とした、日本の文字文化から始まり、歴史・観光をご紹介する書籍となっております。
